戸籍の附票とは?
不動産に関する所有権移転(名義変更)登記を行う場合に、戸籍の附票や住民票(除票)の写しの取得を求められることがあります。
「戸籍」や「住民票」は耳にしたことがあっても、「附票」や「除票」という言葉は耳慣れない…という方が多いと思います。
なぜ、これらの取得・提出を求められるのでしょうか。
住所の履歴が記録される“戸籍の附票”
戸籍の附票とは、本籍地において管理される住所履歴に関する記録のことです。本籍地のある市区町村役場において、戸籍とともに保管されています。
住所履歴に関する記録という点では、住民票と同じような役割を果たしますが、住民票は住所地のある市区町村役場で取得できるのに対し、戸籍の附票は本籍地のある市区町村役場で取得できる点に違いがあります。
住所地と本籍地が異なる方は覚えておくと便利です。
登記簿には本籍が記載されず、戸籍には住所が記載されない
登記簿には、その不動産の所有者の住所と氏名が記載されます。
しかし、本籍や生年月日は記載されません。
戸籍(の本体)には、本籍や氏名、生年月日が記載されますが、住所は記載されていません。
そのため、戸籍だけを不動産の所有権移転(名義変更)登記の際に添付して法務局(登記所)に申請をしても、法務局としては登記簿に記載されている人物と、戸籍に記載されている人物が同一人物であるかどうかを判断する材料が氏名の一致しかない…ということになってしまいます。
法務局は、基本的に提出された書面のみから審査するしかありませんので、戸籍だけを提出されても、戸籍に記載されている人物が(同姓同名の別人ではなく)、登記簿に記載されている人物と同一人物であり、登記を通してしまってよいのか判断ができません。
戸籍の附票は登記簿と戸籍の“接着剤”のような役割
このような不具合を解消するために求められるのが戸籍の附票です。
戸籍の附票には、前に書いた通り、本籍や氏名とともに住所が記載されています。ここに記載されている(されていた)住所が、登記簿に記載されている住所と一致すれば、住所と氏名が一致することが確認でき、法務局としても同一人物であることがほぼ確認できます。
いわば登記簿と戸籍を結びつける接着剤のような役割を、戸籍の附票は果たしているものと言えます。
このような理由から、不動産の所有権移転(名義変更)登記を申請する際には、戸籍の附票の提出が求められることがあるのです。
戸籍の附票の代わりに、本籍地が記載された住民票(除票)の写しを提出する形でも大丈夫です。(理屈は戸籍の附票と同じです。)
戸籍の附票が不要な場合もある
昔は、現在のように本籍と住所を明確に区分して使い分けをしていませんでした。そのため、登記簿の住所のところに本籍が記載されている方がいます。
このような方の相続に伴う登記の際には、登記簿上の住所(本籍)、氏名と戸籍に記載されている者の本籍、氏名が結果として一致することになります。このような場合には、原則として戸籍の附票は不要とされています。
相続に関する書類を集める作業というのは、人によってはなかなか大変なときもありますが、このように提出を求められている意味を考えながら取得していくと、少しスッキリするところが出てくるのではないかと思います。
普段は聞き慣れない書類ですが、不動産の所有権移転(名義変更)登記の場面において、戸籍の附票は非常に重要な役割を果たすのです。
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